社長のコラム


デジタル化への貢献

2021.05.31

会社名に「情報システム」という言葉が入っていまして、弊社は情報システムの会社です。

情報も、システムも、それをコンピュータに限定する意味は持ちませんが、一般にコンピュータを使用しない情報システムはありません。またプライベートで利用する情報システムも聞きません。コンピュータを使って業務を効率化することが情報システムの目的です。

デジタルトランスフォーメーションはDXと略されます。情報システムという言葉が手垢にまみれた頃合いにDXと換言されます。新しい情報システムという程度の意味合いです。

デジタル化とも言われます。もともとデジタルとはすべてを数値化して表現する方式で、たとえばレコードの代わりにCDで音楽を聞いたらそれはデジタル化でした。今やDXのニュアンスで語られます。今年(令和3年)の9月1日に、デジタル庁なるものが設置されるそうですが、DXから来ているそうです。情報システムと密接な関係があります。


弊社も情報システムの会社ですので、社会のデジタル化に貢献したいと思っております。

といいますのも、日本のデジタル化は遅れていると声高に論じられています。これも仕方のないことです。

まず、デジタルとはアナログの対義語として、アナログ信仰が根底にあります。アナログのほうがいいと思っている人は今も少なくありません。デジタルは数値で、数字は冷たい、血が通っていない、アナログには人間のぬくもりがある、という主張は、しかし、デジタルの何たるかを誤解しているところから発せられます。

デジタル化の何たるかを知る予約<よみうり時事川柳2021.5.18>。この句の作者もまた誤解されているようです。ワクチン接種の予約をしたいけれども、ネット予約しか受け付けられず、スマホも持っていないアナログな人間にはできなかったと不満なのでしょう。電話をかけて担当者を呼び出して予約してもらったのでしょうが、その人が使っている電話はおそらくデジタルです。


デジタルが悪いわけはありません。生活のいたるところでデジタルの恩恵を受けています。

デジタルによく似たデンタルという言葉があります。デンタル科といえば歯医者さんのことです。デンタル科でもデジタル化が進み、私の診察券のナンバーを入力すると、私のレントゲン写真がモニターに表示されます。それを見ながら治療の説明を受けます。

ところが多くのところで、受付の予約のシステムはいまだアナログです。受付の女性の作業をのぞき込むと、大学ノートに罫線を引いて日付と時間帯で区切られた枠に患者の名前を書いて管理しています。そして、私の診察券に日付と時間を記入して渡してくれます。

予約を取ろうと電話をしても、診察券のナンバーは不要のようです。名前は何ですか、下の名前は、と畳みかけられます。名前を伝えたあとずいぶん待たされます。ノートをめくって名前を検索しているからでしょう。診察室のシステムと予約のシステムがつながっていないのです。デンタル科のさらなるデジタル化を提案したいところです。


紙とペンが悪いわけはありません。ただ、そこに不便や不利益はないでしょうか。

空き状況がすぐに分からず患者をしばらく待たせてしまうのなら、デジタル化を考えてみるべきです。

ネット予約のできる歯科医があってもいいのです。弊社にご連絡いただければ、ネット予約システムの構築だけでなく、運用サポートもいたします。一人の患者として私が、予約可能な時間帯が一目で分かるようになり、その場で予約が完了するようになります。

紙とペンにも便利さはあります。電源を入れなくても見られるところはその一つですし、字の乱雑さで書いた日の精神状態が思い出されるところもそうでしょう。誰が書いたかも分かるし、その人の性格もなんとなく分かるでしょう。だからと言って、デジタル化を考えなくてもいい理由にはなりません。ワイドショーやニュース番組を見ると、我々は、デジタル化が進んでいないが故のデメリットに翻弄されているようです。


情報システムに携わっている立場で、私は、そのように思っているということです。

古くは、消えた年金の問題がありました。今でも消えたままの人もいるそうです。自分の納めたはずの年金が、給料や賞与から天引きされていながら、支払ったことになっていなかったら、腹が立ちます。

署名ですら、デジタルで行われる時代です。クレジットカードの支払いも紙にペンで署名をすることは少なくなりました。デジタル署名といえば、本人が本人であることを確認できるものですが、オンライン署名とかネット署名といわれるものもあります。署名活動をデジタル化したものです。昨年、愛知県知事のリコールを求めた署名活動は、アナログでした。紙にペンで書いていて同じ筆跡が続いていたから不正はたやすく見つかったが、オンラインだったら見つからなかったのでしょうか。

そんなことはありません。署名した本人が本人であることがきちんと証明できればなんの問題もないはずです。そしてそれはデジタル化の一つの要素でもあります。


情報システムの会社の経営者として、今、デジタル化を進めてほしいのは税務署です。

私は、まずは個人事業として登録し、そして株式会社を設立し、個人事業を廃業しました。税務署に何度も足を運びました。びっくりするのは、そこで提出するものの多くは手書きの書類、アナログなのです。その上、本人確認は、おざなりです。

昨年、持続化給付金の不正受給が話題になりました。誰でも個人事業主だったと主張して虚偽の税務申告をすることで、国から100万円が振り込まれるという、ありがたい制度でした。こんな不正がまかり通ったのもデジタル化の遅れでしょう。一昨年の個人事業の内容や毎月の売上を、事前に把握できずともよしとしていました。

私は、すでに個人事業の廃業届を出してしまっていたので、100万円を申し込みませんでした。昨年のある月の会社の売上は、個人事業だった一昨年の同月の半分以下でした。廃業届なんか出さなきゃよかった。そのようなことを思わせてはいけないのです。デジタル化に貢献したい所以です。

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