社長のコラム


ワクチンを早く打つ方法

2021.06.30

ひとくちにIT社長といってもピンからキリまでありまして、私は底辺のほうに属しております。

底辺といったら聞こえが悪いので、裾野と自称しておりますが、立ち位置としては同じところです。ただITについて多少の知見があると自負しております。

そんなIT社長として、ワクチンを希望するすべての人に早く確実に接種するにはどうすればいいか、思ったところを記録しておきます。

一つは、もっとカメラを活用すべきだということです。すでにAIによる映像解析は運用に耐えられるレベルになっています。AIでなくても、顔の画像から同じ人物か赤の他人かを判断するシステムも広く使われています。この顔認証と、たとえば指紋とか静脈とかの認証を組み合わせれば、少なくとも接種券を郵送する必要はありませんでした。接種券の紙に印刷された10桁の数字を不慣れな指先であっちに入力したりこっちに入力したりするくらいなら、カメラでパシャ、個人の識別はこれでいいのです。


顔認証とか指紋認証というと拒否反応を示す人も多いのでしょうが、顔の画像をどこかに置いておかなくてもかまいません。指紋も同じで、画像から数値化して保存して、その数値からは顔や指紋を再現できないようにしておくことも可能です。

最近は、外を歩くだけでどこかのカメラに収まります。レストランでもスタジアムでも病院でも、入り口にはカメラがセットされており、体温をチェックしないと先に進めないシステムです。やろうと思えば、測定した体温だけでなく、こっそり顔写真のデータを保存することも可能なのです。

指紋にしてもそれを登録してスマホを使用している人も多く、顔や指紋を個人情報だといってかたくなに隠したい人にとっては生活しにくい世の中です。

もちろん個人情報はしっかり守ってもらわなければなりません。その大前提の上で、活用できるところは活用する、それがデジタル化ではないでしょうか。被害に遭わないためならば、防犯カメラの録画程度の個人情報の提供はやぶさかではありません。


報道によると、ワクチン接種の会場ではいろいろなトラブルが起こっています。

同じ日に同じ人に2回注射してしまったり、ワクチン入れるのを忘れて生理食塩水だけを注射してしまったり、いったん解凍したのに間違えて冷凍庫に入れてしまったり。廃棄されたワクチンも政府の発表よりはるかに多いと聞きます。

現場の医療関係者たちは、ミスのないように最大限の努力をされています。しかし人間のすることですからどうしてもミスは起こります。ミスを見越したうえで、どのように防ぐか、その後どのように対処するか、あらかじめ考えておく必要があります。

私は、ワクチン接種の会場は、裏方も含めてすべて録画されているのが望ましいと思います。接種を受ける時に写真を撮って認証すれば、同じ人に間違えて打つことは防げます。準備の段階からその取り扱いが記録されていれば不備があったかもしれないワクチンを打たれた人を追跡できます。人がチェックしなくてもいいのです。AIで解析してくれるのです。AIの力で、手際のいいお医者さんとそうでないお医者さんを見分けてくれます。


そんなことをするとお医者さんから文句が出そうです。

なにも注射をお医者さんに限らなくてもいいのです。いいことにすればいいのです。キャビンアテンダントなどコロナ禍が直撃した専門職は多いと聞きます。すでにしっかりとした教育を受け十分な経験を積んでいる接客業の人ならば、人形を相手に半日くらい注射を打つ練習をしたら、もう大丈夫ではないでしょうか。

資格を持っているだけのお医者さんより、CAさんからの接種を希望する人は多いはずです。すべてを映像に記録してAIが解析してミスは追跡してそこはお医者さんが善後策を立て、ミスの多いCAさんには残念ですが退いてもらうような仕組みにしておけばいいのです。

どこかの医師会のトップの会見を見ていると、どうも非常事態だという意識が低いのではないかと感じます。既得権益を守りたいのは分かりますが、もっと柔軟に変更できないものでしょうか。致命的なミスでなければ目をつぶるくらいの覚悟が必要ではないでしょうか。


ワクチン接種の予約をめぐってもかなりのトラブルがありました。

知り合いの医療関係者によると、国が用意したお医者さん向けの情報システムはもうそれはひどいものだったそうです。弊社に発注していただければもう少しましなものができたのに、と思っている社長は私だけではないでしょう。

まずは65歳以上の人が優先して接種を受けられるということで、我先にと殺到した希望者をさばききれずに、電話がパンクしたそうです。一人の予約をするため家族が総出で協力し、100回以上も電話をかけてやっと予約できたと、目を細めて子どもや孫の活躍を語っていました。これが美談になったらスギ薬局がかわいそうです。

ちょっと待てば7月までには受けられるといわれていながらそのちょっとさえ待てず何度も秘書に電話させてねじ込んだとしてスギ薬局の人は問題になりましたが、やっていることは同じではないでしょうか。なかなか電話がつながらず、やっとつながった担当者につい暴言を吐いてしまったこともあったでしょう。スギ薬局の秘書よりもひどい言葉を投げつけた人もいたのではないでしょうか。


殺到するリクエストをさばききれないとき、ちょっと待ってもらうのは、情報システムとして正しい処置です。

当然、お金をかければ応えることができるのですが、だれが払うのでしょう。ワクチンの接種がすべて税金だとすれば、無駄な税金を使ってほしくないのは納税者の素朴な感情です。無駄に電話の受け手を増やさないでほしかったとさえ思います。

ちょっと待てば受けられるという条件下においては、寄付金制度でよかった。ワクチンのため、たくさん寄付をした人が優先的に接種される制度です。100万円寄付しても我先に受けたい人には優先して打ってあげればよかった。スギ薬局の人はいわれなき中傷を受けなくてもよかった。政府はなぜ、かかったお金を回収することを考えないのでしょう。職域接種が始まって、結果的にいま、金持ちの企業や大学が優遇されています。

ということで、秩序をもって優先順位をつけ、柔軟に打ち手を増やし、接種券など配らずに個人を識別し、すべては後から追跡できるようにしておく、まとめるとそんなところでしょうか。

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