行政のデジタル化が諸外国に比べて遅れているそうです。韓国や中国、東南アジアで簡単に出来ることが日本では出来ない、そんな報道をよく目にします。
いろいろな要因があり、いろんな事情もあるのでしょうが、そもそも行政の用意した情報システムが使いにくいのは確かです。
どうして使いにくいのか、どうすればいいのか、私が担当者ならばこうするのに、というところを、e-Taxという情報システムを例に語ろうとしています。
今回はその1回目です。
弊社は4月末の決算で、創業よりこのかた、といっても2回ですが、e-Taxを使って確定申告をしています。
今期は赤字で、前回よりも提出書類が増えました。
WEBを渉猟し、購入した本や公式のマニュアルをよく読んで申告を済ませましたが、その後、上野税務署や国税庁から、何度かお電話をいただきました。
提出すべき書類が足りなかったり、入力すべき金額を間違えていたり、すべては私のミスで、対応いただいた職員の方々に対しては、お手数をお掛けして申し訳ありませんでした、と謝罪いたしました。
それを棚に上げるつもりはないのですが、それにしても、と含むところがあるわけです。
このe-Tax、そもそもユーザーに優しくありません。
入力フォームは文字が小さく、いちいち拡大しなければ読み取れません。フォーカスが動く順序は、左から右、上から下、と一律ではなく、一つ飛ばされたり、とんでもないところに移ったりします。
半角の数字だけが入力されるところに来て、全角のひらがなを入力するモードになります。数値を入力するための画面で数値を入力しにくいのです。
税金を受け取る公務員の方々もまたe-Taxのユーザーですが、彼らにとっては使いやすいシステムなのでしょうか。
とてもそうは思えません。
たとえばe-Taxにはメッセージボックスの機能があります。私はこれで連絡を受けられるはずですが、メッセージではなくお電話をくださいます。
お客様と打ち合わせの最中に国税から電話がかかってくるのは居心地の悪いものです。そのくらいの内容ならば、わざわざお電話いただかなくてもいいのに、と思います。
電話はいいとしましても、e-Taxで受信したメッセージより、郵便で届いたメッセージのほうが多いのです。
そして私からのメッセージの送信は許可されていません。
間違って申請してしまった書類を取り消したいがどうすればいいでしょうか、と質問したとき、コピー用紙でもなんでもいいので、その旨を書いて署名押印して封筒に入れて送ってください、との回答でした。
メッセージのやり取りが気軽にできれば、職員の方々のお手を煩わせることはかえって少なくなるのではないかと思うのですが。
情報システムの作り手として、どうしてこんな使いにくいシステムができたのか、ある程度は想像がつき、それは次回のテーマにいたします。
それでこのe-Taxですが、まずは細部から改善することです。
入力フォームにおいて、タブやエンターで次の項目に移るときには順番に動くようにすること、読めない小さな文字ではなく、たとえば前回作業していたときの拡大率で表示されるようにすること、また、入力するところと入力できないところ、数式が入っているところは色を変えるくらいの心遣いも大切です。
細部には何かしら宿るのです。
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