始まりは国税局から届いた1通の封書でした。
いわく、消費税の申告がなされていないので申告してください。返信用の封筒が同封されています。ご丁寧です。
お客様からお預かりした消費税、責任を持って何ヶ月も前に何十万もの金額を納付した記憶はありましたが、翌る日慌てて記帳に行きました。期日を守って振り込んでおり、ホッとしました。eTaxというシステムを使用して納付まで完了していました。
ペンをもってその旨を、心を込めてしたためて、投函してから2週間、すっかり忘れていたころに、国税局を名乗る女性からの電話、訝しんだのはナンバーディスプレイの表記が「中国語教室○○」となっていたからです。電話の相手は本当に国税局なのかしら。「不審な電話にご注意ください」と国税庁のWEBサイトで注意喚起されています。
女性は言いました。
「封筒が届きましたが、消費税は申告されていません」
私は申しました。
「eTaxで申告したのですが」
「確認しましたが、申告されていません」
「申告して納付もしているんですけど」
「ですから申告されていないんです」
「申告しないと納付できませんよね。納付してるということは申告したということではないですか」
「申告もされていないし、納付もされていません」
「納付はしています。弊社の口座から振り込んだ証拠が記帳されています。そちらの口座には入金していないのですか。ご確認ください」
この日はこれで水入り、日を改めて「中国語教室○○」から電話が入ります。
「入金は確認できましたが、その振り込まれた金額は宙に浮いている状態です」
二の句を継げませんでした。かつての銀行員は、1円でも残高が合わないとその日退社できなかった。国税局は、何十万円を宙に浮かしたまま、何ヶ月も放置したままでした。
もちろん過失は誰にでも発生するものです。まあしかし、支払うべき税金の納付を確認してもらえてひと安心、と私はこのとき楽天的に考えていました。
弊社はこれまできちんきちんと、中間納税も含めて半年おきに消費税を納付しております。
そのように申しました。
「弊社としては、納付している以上は申告もしていると認識しております。申告して納付するシステムです。おそらくはeTaxのシステムに不具合があって、申告したのに申告していないことになっているのだと思います」
これに対する国税局の女性の言い分は、先ほどの発言に輪をかけて、私に徒労感と絶望感を与えました。弊社が情報システムの運用をなりわいとしていることを伝えているにも関わらず、彼女はこう宣うたのです。
「それはeTaxのバグではなく、貴社のシステムのバグでしょう」
彼女は、eTaxというシステムと弊社のシステムを並べて論じています。それらは並列に接続されません。失礼に、程はないでしょうか、「弊社のバグ」とは何を指しているのでしょう。
彼女は情報システムの素人であることが、「バグ」という言葉をこのように使っている事実をもって分かります。このことは事前に指摘しておくべきでしょう。
例えば料理人から「おたくから納品された材料が腐ってましたよ」と文句を言われたときに、「うちの材料が悪いのではなくてあなたの料理の腕が悪いのでしょう」と言い返すようなものです。
素人が見て違いが分からなくてもプロの料理人が見たら一目瞭然ということがある、腐った材料、すなわち、よろしくない情報システムは、ちょっと触れただけで分かるものです。私はこれまでに何度かeTaxはどこがどのようによろしくない情報システムであるか論じてきました。
なぜよろしくないeTaxと知っていながらそれを使っているのか、と問われるかもしれません。
平日の昼間に税務署に出向いて申告すればよかったのです。その通りです。しかしながら、土日でも深夜でも家から申告できる、そんなeTaxはそれだけで非常に魅力的に映るのです。デジタル化の恩恵を私は受けているのです。
今回の問題となった出来事ですが、私がeTaxを使って申告書を送信した時刻は午前1時16分でした。そんな時間ですからeTaxもお休みしていたのかもしれません。情報システムの運用においては、深夜に保守作業を行うこともあります。その時間帯と重なって、eTaxに不具合があった可能性はないですか、と申しました。
その返答もまたピントの外れたものでした。すなわち「同じ時間に他の会社の申告を受け付けた記録があります。eTaxに不具合はありませんでした」
同じ年月日の同じ時分秒に99社からの申請を正常に処理したからと言って残りの1社に不具合はなかったと言えますか。
申告したときのメッセージを印刷して郵送せよと言われて、私はまたその通りに対応しました。
「せっかくeTaxというシステムの中にメッセージボックスという機能があるのに、なぜデータのやりとりにこれを使わないのですか。メール添付でもいいです。どうして電話と郵便なのですか。ご存知のとおり弊社は情報システムの構築に携わっています。ご依頼いただければ今よりもずっとマシなeTaxになりますよ」と伝えたところ、担当者が男性に代わりました。話は続きます。
弊社はまた情報セキュリティ教育も請け負っております。お任せいただければ、国税局の職員の方々には、情報システムの可用性や完全性について、それらは情報セキュリティの重要な概念ですが、理解を深めていただけるでしょう。
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